社長、僭越ながら申し上げます!
私、眞山乃菊は飲料を中心とした食品会社『イチダ』の中途採用1年目で営業事務をしている
前職で…まぁ、色々ありまして
ツテを頼ってやっと就職できたこのイチダで私は黙々と仕事をしていた
地味と言われようとも
長い髪は後ろで一本にまとめて
メイクはほぼ無し、眉毛を書いて
薄い色のリップを塗るくらい
服装は自由だが
営業事務の女性は皆会社指定の事務服を着ていたので、合わせて私も事務服を着た
「乃菊って可愛い名前ねぇ、可憐だわぁ…」
なんて言いながらおっとりとしていて優しい
先輩事務のママさん梅木さんが優しく指導してくれるし
上司はセクハラとは無縁そうな柔和な雰囲気
愛妻家で有名で仕事も出来るらしい『仏の山本』の異名を持つ優しい45歳の課長
(働きやすい職場だわー)
そんな風に思っていたのに…
ピコン!
(ん?)
社内用のメッセージが、見積書を作っていた画面に飛び出してきた
『眞山乃菊、至急社長室へ』
(社長室?)
不思議に思って課長に聞きに行こうと立ち上がると
「ぁ眞山っ!」
課長が声を上擦らせた
「はいー?」
「今すぐ社長室に行きなさい」
「ではこの見積書を作ってから…」
私が座りかけたら課長が汗をだらだらとかきながらプルプルと首を横に振った
「いい、いいから行きなさい…続きは
オレがやっとくから」
「え、は…はい」
急かされて…
取り敢えず手帳とペンケースを持って社長室へ急いだ
初めて…あ、いや挨拶以来2回目の役員室フロア
シンと静まり返ったそこは来るだけで緊張してしまう
まずは役員秘書の方にIDカードを見せて、社長室へ呼び出された旨を伝える
「眞山さん…お疲れ様です、伺っています…どうぞ奥の突き当たりの部屋ですから」
「有り難うございます…」
私は緊張に震えそうになる脚に力を入れて
一歩踏み出した
コツン、コツンと、自分の足音が響く中
廊下の突き当たりに着くと……コンコンとノックをする
「はい?」
中から響くバリトンの声に私は上擦った声で名乗る
「あ、あの……眞山です」
「ああ!入って……」
「失礼します!」
許可を得たので私は重厚な扉を開けて中に入る
「お疲れ様眞山さん……さ、こちらへどうぞ」
中では社長の壱田湊さんが爽やかな笑顔で出迎えてくれた
端正な顔立ち
大きな猫目は自信に満ちてキラキラしていて
スッと通った鼻筋に形のよい少し厚めの唇
意思の強そうな眉毛
(い、イケメン……)
華やかな雰囲気の社長のイケメン具合に
思わずのけ反ってしまう
前職で…まぁ、色々ありまして
ツテを頼ってやっと就職できたこのイチダで私は黙々と仕事をしていた
地味と言われようとも
長い髪は後ろで一本にまとめて
メイクはほぼ無し、眉毛を書いて
薄い色のリップを塗るくらい
服装は自由だが
営業事務の女性は皆会社指定の事務服を着ていたので、合わせて私も事務服を着た
「乃菊って可愛い名前ねぇ、可憐だわぁ…」
なんて言いながらおっとりとしていて優しい
先輩事務のママさん梅木さんが優しく指導してくれるし
上司はセクハラとは無縁そうな柔和な雰囲気
愛妻家で有名で仕事も出来るらしい『仏の山本』の異名を持つ優しい45歳の課長
(働きやすい職場だわー)
そんな風に思っていたのに…
ピコン!
(ん?)
社内用のメッセージが、見積書を作っていた画面に飛び出してきた
『眞山乃菊、至急社長室へ』
(社長室?)
不思議に思って課長に聞きに行こうと立ち上がると
「ぁ眞山っ!」
課長が声を上擦らせた
「はいー?」
「今すぐ社長室に行きなさい」
「ではこの見積書を作ってから…」
私が座りかけたら課長が汗をだらだらとかきながらプルプルと首を横に振った
「いい、いいから行きなさい…続きは
オレがやっとくから」
「え、は…はい」
急かされて…
取り敢えず手帳とペンケースを持って社長室へ急いだ
初めて…あ、いや挨拶以来2回目の役員室フロア
シンと静まり返ったそこは来るだけで緊張してしまう
まずは役員秘書の方にIDカードを見せて、社長室へ呼び出された旨を伝える
「眞山さん…お疲れ様です、伺っています…どうぞ奥の突き当たりの部屋ですから」
「有り難うございます…」
私は緊張に震えそうになる脚に力を入れて
一歩踏み出した
コツン、コツンと、自分の足音が響く中
廊下の突き当たりに着くと……コンコンとノックをする
「はい?」
中から響くバリトンの声に私は上擦った声で名乗る
「あ、あの……眞山です」
「ああ!入って……」
「失礼します!」
許可を得たので私は重厚な扉を開けて中に入る
「お疲れ様眞山さん……さ、こちらへどうぞ」
中では社長の壱田湊さんが爽やかな笑顔で出迎えてくれた
端正な顔立ち
大きな猫目は自信に満ちてキラキラしていて
スッと通った鼻筋に形のよい少し厚めの唇
意思の強そうな眉毛
(い、イケメン……)
華やかな雰囲気の社長のイケメン具合に
思わずのけ反ってしまう