fragment
「何だか図々しくてすみません」
「そんな事ないです。何かで割りますか?」

ガラステーブルにコースターと一緒に置かれたグラス。そこへガラスケースから取り出したウィスキーまでもが並んだ。

「いえ、そのままで」

そう答えるとウィスキーだけがそこに注がれた。

「どうぞ」
「ありがとうございます」

そして同じものを二つ用意した彼女は、窓辺に飾ってあったじいさんの写真を今度はテーブルの上に立て掛け、その前に一つ置いた。

「お祖父様に」

その言葉の後に継いで「じいさんに乾杯」と三つのグラスを鳴らした。
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