fragment
そういえば、俺はあの頃ここへ来る度にこの人の様になりたいと思っていたっけ。

親父やじいちゃんとは違う、別格な・・・そうだ。本当に小さい頃は実はこの人は人間の格好した神様なんじゃないかって思った事もあった気がする。

そんな事すら忘れていた自分を薄情に思う反面、そんな気持ちを又思い出せた事が嬉しい。

「あの、よければお茶でも」
「あ、長々とすみません」
「いえ、いいんです。祖父も喜んでいると思いますし、私も寂しくありませんから」

それでもどこか寂しそうな彼女の笑顔を見て、帰りますとは言えなかった。
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