気まぐれ猫くんの手懐け方

「……ぶふっ」

「ブフ?」


猫くんは片手で口を押さえて、

いつものように、噴き出した。


「バカなの?」

「…………へ?」


すっと私から距離をとった猫くんは、もう片方の手に持っていた自分の靴をぽんっと音を立てて置く。

そして横目で私を見ては、またふっと微笑む。


「じゃーね、日下部チャン。電柱に頭ぶつけて帰らないようにね」


慣れたようにローファーを履いて、そのまま行ってしまった。


「……ま、また…名字……」


って、問題はそこじゃないよね?私???


―――カクンッ


「わっ…」


足から急に力が抜けて。

そのままふにゃふにゃと座り込む。


「………な、な……」


なんなの!!!?


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