気まぐれ猫くんの手懐け方
ばっちり目が合う私と猫くん。
私の顔の温度はみるみる急上昇していくのがわかる。
「お、おっ、おはよう猫くんナニシテルノ!!?」
口をついて出てきた言葉はよくわからないもので。
なにしてるのって……なにその会話のチョイス。
コミュニケーション能力が低いこと丸わかりじゃない、これじゃあ……。
『バカなの?寝てるに決まってるじゃん、見てわからないの?』
とか言われてまたバカにされるんだ……!!
返ってくる言葉が容易に想像できて、ヒクヒクと頬を引きつらせつつ、なおも笑顔を保とうと精一杯表情筋に『笑え、いいからとりあえず笑え』と指令を送り続ける。
すると。
「…………」
ふっと、猫くんは優しく微笑んだ。
「ひなたぼっこ」
一言、そう言うと。
彼はまた目をつぶって、今度は顔を窓側へ向けてもう一度寝息を立て始めた。