気まぐれ猫くんの手懐け方

「梨乃、おはよう」


ズカズカと大股で私たちの方へ近づいてきた梨乃に挨拶をすれば。

鬼の形相で私を睨んできた。


「あんた何呑気に『おはよう』とか言ってんの!それどころじゃないでしょ!!」

「え」

「猫くん!!」


なんだっけ?と私が梨乃に聞くより早く、梨乃は猫くんの机に大きく音をたてて手をついた。


「…!?」


これにはさすがの猫くんも目を見開いて梨乃を見つめる。


「どう思ってるの?」

「……と、いうと?」

「陽愛のことに決まってるでしょ?」

「………」


梨乃のストレートな質問に、私がドキドキしてしまう。


そ、そうだった。

危なく、昨日の電話のこと忘れるところだった。


……忘れるところだった。



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