気まぐれ猫くんの手懐け方

「……ふう」


重い、だけど短いため息を吐いて、私も自分の席に座る。


「ねえ」


すると、さっきまで窓の方を向いていたはずの猫くんが、またこっちを見てきていた。

……けど、私は視線を猫くんに向けることなく、鞄から教科書を出して机の中に移す。


本当に、思わせぶりなことするのもいい加減にしてほしい。

人のこと振り回すのも、いい加減にしてほしい。


私で遊んでそんなに楽しい?


「あんたの友達、何? 

俺、いきなりあんたのことどう思うとか聞かれても困るし」

「……」


もういい。

もういいよ。


「だいたいさ、あいついつも声でかくてビビるし」

「猫くん」

「ん?」


猫くんの顔を見ずに、私は告げた。



< 115 / 273 >

この作品をシェア

pagetop