気まぐれ猫くんの手懐け方
「……ふう」
重い、だけど短いため息を吐いて、私も自分の席に座る。
「ねえ」
すると、さっきまで窓の方を向いていたはずの猫くんが、またこっちを見てきていた。
……けど、私は視線を猫くんに向けることなく、鞄から教科書を出して机の中に移す。
本当に、思わせぶりなことするのもいい加減にしてほしい。
人のこと振り回すのも、いい加減にしてほしい。
私で遊んでそんなに楽しい?
「あんたの友達、何?
俺、いきなりあんたのことどう思うとか聞かれても困るし」
「……」
もういい。
もういいよ。
「だいたいさ、あいついつも声でかくてビビるし」
「猫くん」
「ん?」
猫くんの顔を見ずに、私は告げた。