気まぐれ猫くんの手懐け方


「……私、猫くんのこと、なんとも思ってないから」

「………」


猫くんの方、見ていないからわからないけど、

一瞬猫くんの眉が動いたように感じた。


……いや、感じただけかも知れない。


この言葉で、少しでも動揺させたかった。

動揺してほしかった。

……動揺したらいいって、思った。


それでも、なんとも思ってないなんて、そんなの猫くんだってきっと同じだし

こんなことを言われたところで『だから何?』って思われるに決まってる。


だけど。


いつも私ばっかり翻弄されるのも悔しいし、これで猫くんからの嫌がらせがなくなるなら、それはそれで嬉しい。


だけど、あっさりこの言葉を受け入れてほしくない、と思ってしまう自分が心の中のどこかにいた。


矛盾してる。


「………」


猫くんは、さっきからずっと黙ったままだ。

やっぱり、『なんとも思ってない』なんて、言い過ぎた……かな?

どうしよう、撤回した方がいい?





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