気まぐれ猫くんの手懐け方
「ま、俺が勝つに決まってるかあ~」
「そ、それって、私が先に猫くんのこと好きになっちゃうってことですか!?」
動揺しすぎて、つい敬語になってしまった。
いや、こんなの誰だって動揺するに決まってる。
「バカなの?今の賭けの話聞いてた?どう考えてもそういうことでしょ。」
つまりあんたの負けは確定済み☆
なんて言いながら、どこからか取り出したハンドキャッチャーを私のおでこにコツンと当ててきた。
「なんで……っ、そうなるの……!!!」
人のことおちょくるのも、大概にしてよね……!!
馬鹿にしたその感じが許せなくて、目の前のハンドキャッチャーをつかもうとするも。
「じゃ、やる? 熱血委員長さん」
さっと引かれ、つかみ損ねた。
それにすら腹を立てた私は。
「どこまで人を馬鹿にすれば気が済むの!? そんなのやるに決まってるじゃない!!」
……と、言ったところでハッとする。
だって猫くんが、本当に楽しそうににやあっと笑うから。
まずい。
こんなばかばかしい賭けなんて、乗るつもりなかったのに。
「今日から一緒に帰ろうね、陽愛チャン」
意地悪い笑顔を浮かべて、彼はそう言った。