気まぐれ猫くんの手懐け方

ドクンドクンと心臓が鳴る。


『猫くん!!』


人が気にしてる名前を、あいつは悪びれる様子もなく普通に呼んでくる。



『なに?ねこすけって変な名前~』

『ねこすけ、お手!』

『やめなよ~、それいぬだよ!』



こんな、クソみたいな名前のせいでよく小学校の頃までいじめられてきた。


別にトラウマになるようなことはないし、

いじられることがつらい訳でもなかった。


ただ自分の名前が嫌いだった。


名前だけでなくこの容姿も。


小学生の時は慎重順に並べば必ず一番前だった。



“背が小さいと、高校になるまでにぐんっと身長が伸びる”



そんなことを信じて、嫌いな牛乳を頑張って飲んだりしたこともあった。




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