気まぐれ猫くんの手懐け方
***

「…っ、やっと…お昼休み……!!」


授業終了を告げるチャイムと同時に、

私は自分の机に突っ伏した。


隣の猫くんは、ノートや筆記用具を机の中に仕舞っている。


「……」


い、一生懸命ごまかしたつもりだけど…

私のお腹の音、聞こえてないよね…?


「……」


ほっぺたを机につけたまま、猫くんを見つめる。

私の視線よりも少し上にある彼の顔。

下からのアングルもこれまたいいものだった。

ピンクのピンで留まりきらなかった前髪が顔にかかっていて、栗色の瞳がそこからちらちらと見え隠れしている。

いつもはくりくりしていてかわいらしいその目も、かかる髪によって時より細められ、急に大人びたその雰囲気にドキッとしてしまった。


「なにジロジロ見てんの?」


「!!!」


そんな瞳が私を捕まえて、そう声をかけられるまで一瞬で。

あまりに突然のことで驚いた私は、声を出すのも忘れて肩をびくつかせた。



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