気まぐれ猫くんの手懐け方
「わかった、買ってくるよ…」
そっとカバンから財布を取り出して、視線を猫くんへ移す。
「なににする??」
「じゃあ、いち……」
「いち??」
そこまで言って、猫くんはハッとしたように口を閉じる。
そして一度下を向いたと思ったら、口角を上げながら私を見上げてきた。
「ちゃんひなのセンスに任せる」
「ええっ!!?」
それ絶対何買っていっても『バカなの?』って言われるパターンじゃない!!!
「え、えええ…そんな無茶な…」
「んじゃ、買ってきたら屋上来てね、ちゃんひな」
「屋上…??」
よいしょと立ち上がった猫くんは、眠そうにふわりとあくびをした。
「飯、一緒に食うでしょ?」
「っ!!?」
突如となく伸びてきた右手が、ぽんっと私の頭の上に乗せられ。
ぽんぽんと2回ほど優しく当てられた。