気まぐれ猫くんの手懐け方

すぐ目の前で、壁により掛かっていた猫くんが私の傍に近づいてきた。


「…え?」


そして、ぐっと腕をつかまれ自分の方へと引き寄せる。

私は自然と猫くんを見上げた。

意外と近くにあった猫くんの顔に、どきりと胸が鳴る。


「……うん」


そんな私を見た猫くんは満足そうにひとつ、うなずいた。


「ばっちりついてるね」

「……え、な、何が…?」

「ん?」


猫くんは口角をつり上げて、いたずらに笑う。

そこにはいつものかわいらしい猫くんの面影はなくて。

怪しげに、含んだように、笑みを浮かべながら

自分の首筋をつつーっと指でなぞった。



「キスマーク」

「!!!?!?!?」




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