気まぐれ猫くんの手懐け方
そのままこつんと額をあわされて、もう、どこを見たらいいのかわからない。
サラリとした彼の前髪が、風でなびいて私の目にもかかる。
「で?あんたは?」
「……わかんない、」
「バカなの?ここでわかんないとか言う?流れでうなずいてよ」
少し、唇をとがらせている猫くん。
彼の栗色の瞳がすぐそこにあって、吸い込まれそうになる。
「な、流れでどうこうするものじゃないでしょ…!?」
「……なんか今、すごいいじめたいかも」
「ね、猫くん…!?」
そっと頬に優しく触れられる猫くんの手。
あ、これは、この雰囲気は。
そこまで考えて、考えるのをやめた。
だってもう、心臓がドキドキしすぎて、何も聞こえない。
「猫くん、とりあえず…」
「いいから、ちょっと黙って」
「…っ」
やっと思い出した。
夢の中で感じたあのマシュマロの感覚。
……これだった。