気まぐれ猫くんの手懐け方
好きって、なに?
お前の好きとは違う
「………嘘でしょ…?」
みなさんこんにちは。
日下部 陽愛です。
朝、いつも通り教室に着くと、私の隣の席の彼は何事もなかったかのように机に突っ伏していた。
なんで、こんなふうに平気でいられるんだろうって、逆にいらいらっとしてしまう。
「………この、人は…!!」
私は、昨日の事を思い出しては顔をボボボッと赤く染める。
……昨日、あのあと、猫くんが私の家まで送っていってくれた。
『あのさ』
私が家の中に入ろうとしたとき、そう呼び止められて。
『今日話したこと、嘘じゃないから』
そう言って、すぐにいつもの意地悪そうな顔をして微笑む。
『じゃーね、ちゃんひな』
学校では、呼び捨てにしてくれていたはずのに。
また、あだ名呼びに変わっていることに少しさみしさを感じて。
片手を上げて背中を向けた彼を、少し切なくなりながら見つめていた。