気まぐれ猫くんの手懐け方

意外と悪いコだね


それから、ほとんど猫くんとも言葉を交わさぬまま昼休みを迎えてしまった。


「ほら、行くよ」


しかし唐突に猫くんからそう声をかけられ、今日も屋上で二人きりだ。


「ねえ」


下から、猫くんの声がする。


「俺とアイツの好きってどう違うの?」

「ええっ!?」


玲央くんと話していたときのような低い声ではなく

いつも聞く、かわいらしい声のトーンで。


私の膝に頭を乗せて横になった状態の猫くんが少しむっとした表情で私を見上げている。


「ねえ、どうなの」


「ど、どうと聞かれましても……」


緊張と驚きと動揺で口の中が乾ききってしまっている。

出てきやしない唾を飲み込むように、喉をゴクリと鳴らした。




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