気まぐれ猫くんの手懐け方
「だいたいちゃんひなは、アイツに思わせぶりなことしすぎなの」
「え!?」
ため息をついた猫くんは、いつもの意地悪い、挑発じみた声のトーンに戻る。
「ど、どういう……」
「デートしたり、一緒に帰ろうとしたり、普通に笑顔見せたり、無防備すぎ」
「私、そんなつもりじゃ…」
しかし、猫くんの嫌味じみた言葉は止まらない。
「なに?実はアイツの気持ちに気づいてて、思わせぶりなことして……そんなにチヤホヤされたいわけ?」
「な、なに言ってるの?」
猫くんの言葉が次々胸に突き刺さる。
そんなんじゃないのに。
違うのに。
「意外と悪いコなんだね、ちゃんひな」
「………っ」
なにかが、私の中でぱちんと弾けた音がした。