気まぐれ猫くんの手懐け方
「…っ、ほんとは、好きじゃないくせに…っ」
ちがう。
なんでこんな言葉ばっかり出てくるの。
なんで涙なんか出てくるの。
「ちょ…っ」
「もう知らない!!猫くんのバカっ!!!」
「陽愛っ!?」
私はいても立ってもいられず、その場から逃げるように走り出した。
あんなこと、言いたかったんじゃないのに。
…けど、猫くんに『そんなことない』って、否定欲しかったと思ってる自分がいる。
わかんない。
私、自分がどうしたいのかわかんない。
教室のドアを開けると、真っ先に目に飛び込んできたのは友達と楽しそうにお昼ご飯を食べている梨乃の姿だった。
「…陽愛!?」
梨乃も私に気づいてくれて、すぐに駆け寄ってきてくれた。