気まぐれ猫くんの手懐け方
「あのさ」
教室に入るなり、2人の会話を遮るように言葉を発した。
2人の視線が一気に俺へと向けられる。
「前も言ったけど、テリトリー荒らされるの、好きじゃないんだよね」
「え、ね、ねこく…!?」
突然の俺の登場にテンパりまくる陽愛。
「え、わ…っ」
俺はそんな陽愛へ向かって真っ直ぐ進み、玲央によって包まれているその手を引きはがすように自分の方へと引き寄せた。
バランスを崩した陽愛は、見事に俺の腕の中へとすっぽりおさまる。
「ちょ、え、猫くん…!?!?」
「やだ」
最初は、最初の頃は、本当に取られたくないだけだった。
たとえるなら、おもちゃを横取りされる気分。
……けど。