気まぐれ猫くんの手懐け方
私たちは、教室に向かって足を進めていた。
「はあ、未だに緊張するんだけど…」
「何言ってんの陽愛!しっかりしてよ、委員長!!」
笑顔の梨乃が私の背中をバシンと叩く。
…そう。
入学した次の日、私はひょんなことからクラスの委員長になってしまったのでした。
目の前の親友が『この子!正義感強いし絶対皆を引っ張ってくれるよ!!』ってゴリ押ししてきたせいとか……思ってないよ。
「そんな顔してどうしたの陽愛」
ジト目で梨乃を見つめる私の頭をぽんぽん撫でた梨乃は、いつの間にか着いていた教室へ先に入って行ってしまった。
「おはよう~」
梨乃の後を追って、挨拶をしながら自分の席に向かう私。
出席番号順だった席は、入学当日から席替えをしていた。
私の席は、一番後ろの窓際から二列目。
「……」
机に、コトンとバッグを降ろして、隣の席の男の子に目をやった。