気まぐれ猫くんの手懐け方
陽愛の顔がある、鎖骨のあたりが熱い。
「でも今は違う」
「……どう、違うの?」
「本当に、陽愛が好きなんだよ」
「……っ」
ぎゅっと、俺の制服の袖を陽愛がつかむ。
やり場のない手を、どうにか落ち着かせようとしているみたいに。
「ごめん、俺の言葉信じられないかもしんないけど、他になんて言っていいかわかんなくて」
お願い、陽愛。
「俺のこと、嫌いでもいいよ。…でもお願い。今の俺の言葉、否定しないで」
きれい好きな猫じゃない。
かっこ悪くっても、泥くさくっても。
それでもいいから届いて欲しかった。