気まぐれ猫くんの手懐け方
俺の腕の中で、ふるふると小さく震えていた陽愛。
少ししてから、きゅっと俺の腕を力なくつかんできた。
「…猫くん」
そしてぽつりと俺の名前を呟く。
「なに?」
「…ごめんね……」
そう言って、陽愛は俺の腕からすっと離れた。
「っ、ちょ…!」
なんで?
なんでわかってくれな………
「ちょっとだけ、待ってて?」
ゆっくりと上げられた陽愛の顔は、今まで見たことのないくらいに柔らかい笑顔で。
「っ」
一瞬、息をするのも忘れたくらいには、綺麗な笑顔だった。