気まぐれ猫くんの手懐け方
そのまま来ると向きを変え、玲央へと向き直る陽愛。
俺なんかよりもずっと身長があるため、陽愛の顔はそれに合わせてずっと上に向けられる。
「玲央くん、ありがとう」
「陽愛?」
「私、玲央くんみたいな人にあんなふうに言ってもらえて本当に嬉しい」
陽愛、今どんな顔してるんだろう。
これから、なんて言うんだろう。
やっぱり、伝わらなかった?
あんな言葉じゃ、伝わらなかった?
ねえ陽愛
俺、どうしたらあんたに、自分の気持ち伝えられるかわかんないんだけど。
陽愛の背中を見つめながら、頭の中でごちゃごちゃと考えていた時だった。
「でも、私…他に好きな人がいるから、ごめんなさい」
陽愛のこの言葉で
俺の頭の中のごちゃごちゃが一瞬で、すべて、消え去っていった。