気まぐれ猫くんの手懐け方
考えてみれば俺、陽愛のことなにも知らないんだな。
……あいつ…
「犬っころとは、どこ行ったんだろう……」
ベッドへと投げたケータイをちらりと見るが、すぐにブンブンと首を振った。
やめろ、やめろ、バカなことは考えるな、犬っころに聞くとかどうかしてる。
というか、俺のプライドがそれを許さない。
「……あ」
目を閉じたとき、パッと顔が浮かんだ人物がいた。
中学の時、割と仲がよかった奴。
風の噂によると、女と一生縁のなさそうなあいつに、なんと最近彼女ができたらしい。
「……」
ゴクリと固唾を飲んでから、手に取ったスマホを操作する。
通話ボタンを震える指でそっと押した。
…~♪…~♪
『……あ?』
「!」
何度かのコールで、電話の向こうから不機嫌そうな声がした。