気まぐれ猫くんの手懐け方
「あーっと、彼女ができた君に質問したいんだけど」
『あ?』
「……初デートで、女の子が喜びそうな場所がわかんなくて」
『……別にどこでもいいだろ、そんなの』
「やーマジでほんと、容赦なく突き落としてくる感じ変わってなくて嬉しい俺」
あまりにも、そのすがすがしいくらいの口の悪さが変わっていなかったため、遠い目をしながらそう言えば。
『好きなんだろ、誰だか知らねーけど』
「え」
『だったら、どこ連れてくかじゃなくて、どうやって笑顔にさせるか考えてやれ』
「………」
がつんと、頭を殴られた感覚に陥る。
『何黙ってんだよ』
「……なんか、ありがとう、初めて見直したかも」
『ああ!? ケンカ売ってんのかてめえ!!!』
「じゃーね、彼女さんとお幸せに」
『うっせえ言われんでもなるわ!!』
スマホから耳を離しても十分すぎるくらいでかい声のあと、電話がぶっつんと切られた。
なんか雑誌とかネットよりも参考になった気がする。
……けど、結局。
「……どこ行くんだよ、俺……」