気まぐれ猫くんの手懐け方
いつも前髪、ゴムで結んでちょんまげにしてたじゃん。
なんで今日はちょんまげじゃないわけ。
なんでゆるふわな髪型になってるわけ。
なんで、化粧とかしてるわけ。
「あ、あの……ごめん、やっぱり似合ってない、よね……」
下を向いたときに、顔にかかる髪を、そっと耳にかける陽愛。
その時初めて、陽愛の爪に薄いピンク色のマニキュアが塗られていることに気づく。
「何を着て行ったらいいかなって迷って……昨日梨乃に相談して……でも私こんなんだからかわいい服とか持って無くて、その……」
「………」
恥ずかしそうに、顔を赤くして。
「やっぱり似合ってないよね」って繰り返しては、目をギュッと閉じる。
似合ってない。
似合ってないに決まってるじゃん。
バカ陽愛。