気まぐれ猫くんの手懐け方
こうして俺たちは、近くのゲーセンへと足を運んだ。
ゲーセンに入るなり、陽愛が真っ先に進んだのはクレーンゲームのコーナーだった。
「ねえ猫くん!!このくまちゃんおっきくてかわいい!!」
陽愛が景品を指差しながら俺を振り返る。
しかし俺が不機嫌MAXに「隣のねこちゃんのぬいぐるみのほうがかわいいだろ」と言い返した頃には、すでに200円投下してゲームを始めてしまっていた。
『俺<くまのぬいぐるみ』という現実に少し苛ついたが、陽愛が笑ってるからそれでいいんだと自分に言い聞かせた。
~10分後~
「とれないいい……」
「ふああ…」
「猫くん!? あくびなんてしてる暇なんてないよ!!」
「これだから熱血バカは……」
ため息をつき、俺はくるりと向きを変えて後ろにあった小さいクレーンゲームに100円を投下する。
「……猫くん?」
「黙ってなよ、熱血バカ」
三叉のクレーンを2つのボタンで操作する。
……ダメ元でやってみたけど。
「お」
景品が、偶然にもクレーンの爪に引っかかってくれたおかげで取ることができた。