気まぐれ猫くんの手懐け方
やはり初心者は初心者だった。
当たりはするものの筋力がなくて前には飛ばないし
そもそもタイミングが合わないし
当たるごとに手がジンジンする。
「…もーやだ…むり…」
全球を打ち終え、陽愛の元に戻る。
「お疲れ様、猫くん!!」
うざいくらいの笑顔で俺を迎えてくれた陽愛。
誰のために、頑張ってると思ってんのこの熱血バカ。
でも、笑顔だから、いっかと思ってしまうのは。
「次は、私の番だよ~!!! 猫くん、応援しててね!!」
…惚れた弱み、と言う奴なのだろうか。
「陽愛、できんの?」
「やってやる!って感じかな!玲央君と来たときは、ホームラン打てなかったから!!」
「……」
陽愛のその言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。