気まぐれ猫くんの手懐け方

「き、昨日梨乃に相談して……でも私こんなんだからかわいい服とか持って無くて、その…」


けど少しでも、かわいいって思ってもらいたかった。

梨乃に迷惑かけてまで、頑張りたいって思ってしまった。

でもそれは、私のただの自己満足だったな…。


「それってさ、俺とのデートの為に頑張ろうとしてくれたってこと?」


しかし、私の想いとは裏腹に、猫くんは私の顔を覗き込むようにしてきた。


「頑張ってくれたって事でしょ?俺に少しでもかわいいって思ってもらいたかったってことでしょ?」


待って、待って。

エスパーなの!?

え、待って、わざわざそうやって言葉にされると、私恥ずかしすぎて爆発しちゃう。


「似合ってるとか似合ってないとかじゃなくて、嬉しい」

「~…ッ!!?」


猫くんが、笑った。

嬉しそうに笑った。

やわらかい笑顔で、うれしいって、言った。




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