気まぐれ猫くんの手懐け方
少し目線を下に下げて、猫くんは続けた。
「今までずっと、困るなら俺のことで困ればいいって思ってた。おもちゃで遊ぶ気分だった」
「……」
まあ、そうでしょうね…。
「だけど、その、やっぱ、笑ってて欲しいっていうか」
ほっぺたを、指でポリポリと掻きながら、あさっての方を見て猫くんはそう言った。
照れ隠しかな。
猫くんが私に想いを伝えてくれてから
私に対する態度がずいぶんと変わった。
こうして、素直に私への想いを話してくれるし
私が笑顔でいられるようにしてくれる。
猫くん。
猫くん。
「…猫くん、私……い…っ!?」
猫くんへ一歩、近づこうとした時、足に鋭い痛みが走った。
思わず立ち止まり、痛みのする部位をおさえた。