気まぐれ猫くんの手懐け方

「ごめんね、気づかなかったの」

「気づかないとかある?ねえ?バカなの?」

「バカバカ言わないでよ…!!」


少し、声が大きくなる。

悪いの、私なのに。


猫くんは私を楽しませようと頑張ってくれてたのに。


私が全部、台無しにした。


「楽しすぎて…猫くんといるの、楽しすぎて…」

「え…」

「…それで…」


あんなに頑張ったお化粧も、涙できっと、もうぐちゃぐちゃなんだろうな。

目も、窮屈だったけど頑張ってこすらないようにしてた。

でも、もう真っ黒のパンダみたいな目になってるんだろうな。


…何してんだろ、私。


そう思ったら、またさらに涙が出てきた。


「………まじ、バカ」


今日一低い声がしたと思った、その時だった。



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