気まぐれ猫くんの手懐け方

私と同じくらいの背丈で。

女の子みたいにかわいい顔して。

今日だって、ピンクのピンつけて。

なのに、意外と力持ちで、軽々私のことおんぶしてくれて。


「もうちょい我慢できる? とりま、近くのドラッグストアで傷薬でも」

「好き」


私を気遣ってゆっくり歩を進めていた猫くんの足が止まった。

それを察した私は、猫くんの背中に顔を埋める。

やばい。

これは非常にやばい。


私の心臓の音、猫くんに聞こえちゃう。


「……今、なんて…」


顔だけはこちらに向けて、でも視線は下を向いたまま

猫くんは確認するように私の言葉を待っている。

私は、目をぎゅっと閉じながら、でも、しっかり届くように伝えた。



「好き…だよ、猫くん」




< 246 / 273 >

この作品をシェア

pagetop