気まぐれ猫くんの手懐け方
私と同じくらいの背丈で。
女の子みたいにかわいい顔して。
今日だって、ピンクのピンつけて。
なのに、意外と力持ちで、軽々私のことおんぶしてくれて。
「もうちょい我慢できる? とりま、近くのドラッグストアで傷薬でも」
「好き」
私を気遣ってゆっくり歩を進めていた猫くんの足が止まった。
それを察した私は、猫くんの背中に顔を埋める。
やばい。
これは非常にやばい。
私の心臓の音、猫くんに聞こえちゃう。
「……今、なんて…」
顔だけはこちらに向けて、でも視線は下を向いたまま
猫くんは確認するように私の言葉を待っている。
私は、目をぎゅっと閉じながら、でも、しっかり届くように伝えた。
「好き…だよ、猫くん」