気まぐれ猫くんの手懐け方
「………」
「………」
…おかしな。
頑張ってはっきり言ったつもりだったけど、聞こえてなかった?
猫くんが、何も言ってくれない。
「……猫、くん…?」
そっと、猫くんの背中から顔を離して猫くんを見る。
猫くんの顔まではわからなかったが、耳がものすごく真っ赤になっていた。
そういえば、猫くんの体も熱い。
「だ、だって陽愛チャン、好きな人いるって……」
私の体を支える手が、震えている。
そうだよね、信じられないよね。
私は、自分の思いが本物だよって伝えるために、猫くんの首元に自分の腕をまわした。
後ろから、抱きしめるように。
「その好きな人が、猫くん…です」
恥ずかしい、死にそう。
でもそれ以上に、伝わって欲しい、わかってほしい。