気まぐれ猫くんの手懐け方

猫くん、猫くん。

どうしたら伝わりますか?


さっきから何も言ってくれない猫くん。


明らかに動揺している。


私は、猫くんの耳元に自分の顔を近づける。


「もしもし、好きですよー…」

「バ…ッ!?」


やっと、こっちを向いてくれた猫くん。


「え、ねえ、本当…なの?」


まだ信じられないのか、猫くんの動きは再び停止する。


「うん、騙すようなことして、ごめんね?」

「……マジ…?」

「……ぷっ、あははっ」


普段の猫くんからは想像できないほどの動揺っぷりだったから、思わず笑ってしまった。



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