気まぐれ猫くんの手懐け方
「もういい!!帰ろうぜ陽愛、梨乃」
腰に手を当ててこちらへ近づいてきた玲央くん。
「え、もういいの?」
私がそう聞くも、玲央くんは首を縦に振った。
「俺があいつにどんぴしゃ合わせてやっから大丈夫だ」
「大丈夫?」
「皆は半周だけどアンカーはグラウンド一周だし、頑張ってよね玲央」
「おう!明日に備えて今日はもう帰ろうぜ!」
タオルで軽く汗を拭った玲央くんは、猫くんを振り返る。
「三毛!お前も帰ろうぜ!!」
さっきまで喧嘩していたはずなのに、こうやって誘うところが玲央くんの性格の良さを表している。
「いい」
そう言って、猫くんは私たちの横をすっと通り過ぎて行ってしまった。
「あいつ、嫌な奴だけど悪い奴じゃなさそうだし、なんとかなるだろ」
「…そうだね」
……体育祭は、明日だ。