気まぐれ猫くんの手懐け方
「うん。猫くんが、いいの」
笑顔でそう答ると、玲央君はまた「そっか」と呟き。
猫くんは少し、顔を赤くしていた。
「そういえばお前らはさ、花火大会行かねえの?」
唐突に、玲央君が話題を変えて来る。
私も猫くんも、何のことかと顔を合わせては、玲央君へ視線を戻して首を傾げる。
「知らねーの? 夏休み中にあるだろ? 確か夏休み始まってからすぐだぜ」
「ああ! でも、いつもテレビで見るだけだったからなあ……」
確かに、毎年この時期に花火大会が行われている。
規模が大きくて人も多いため、私は家で大人しくテレビで見ているのがほとんどだった。
「俺、部活あるからそろそろ行くわ」
「あ、うん。 頑張ってね、玲央君!!」
「おう!! 俺の所はいつでも空いてるからな!陽愛!」
「バーカ!!!」
玲央君が教室を出た瞬間、猫くんがぴしゃっと扉を閉めてしまった。
「もう、猫くんたら……」
そんなあからさまにしなくても、と猫くんの元へ近づこうとしたとき。