気まぐれ猫くんの手懐け方
りょ
「頑張れ梨乃~!!!!」
やってきました体育祭!!
私たちのクラスのハチマキの色は、赤。
現在の種目は、女子800m走。
赤いハチマキを巻いた梨乃が、一生懸命トラックを走っている。
運動部でもない梨乃が、なんと陸上部の女の子たちとほぼ並んでいるものだから、彼女の体力には脱帽する。
対する私は。
「いける!!いけるよ梨乃!!そのままついてけ~!!!」
メガホンを持ち、声を張り上げて必死に梨乃へ声援を送る。
「あつっくるし」
隣で気の抜けたような声が聞こえ、そちらを見ると。
「ね、猫くん…!!」
この暑さだというのに、長袖のジャージを着てジト目で私を見てくる猫くん。
あ、まずい、また『猫くん』って呼んじゃった。
ていうかもはや猫くんでいいかな。
定着してきちゃったもの、私の中で。