気まぐれ猫くんの手懐け方

「陽愛、早く座って食べよ? 花火、始まっちゃう」

「あ、うん! 失礼します」


そっと、レジャーシートに腰を下ろして、猫くんが持ってくれていた焼きそばを受け取る。

まだ熱々だ。


「猫くん、一緒に食べ……」

「始まるみたいだよ」

「え?」


―――ドーーン!!


大きな花火が、夜空に打ち上げられた。


「わ…きれい……」

「ど? テレビで見るのと比べてみて」

「……比べものにならないよ……何で今までちゃんと見ようとしなかったんだろう」


私は、もう花火に釘付けになっていた。


大きな音を立てて、最初は赤く光っていた花火が、

キラキラと様々な色に変わって、散っていく。


大きく開いたはずなのに、すぐに散ってしまって。


かと思えば、また次の花が夜空に咲き誇って。



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