気まぐれ猫くんの手懐け方

「……きれいだね」


猫くんは、そんな花火を見てそう呟いた。

けど、私はその横顔をじっと見つめていた。

だって今の猫くん、今まで見たことないくらい凛としていて、大人びて見えるから。


「……なに、『君の方が綺麗だよ』とか言うと思った?」

「な、ちが…っん」


花火が散って、また暗くなった瞬間。

軽く重ねられた唇。


「陽愛が、俺のお嫁さんになるときに、言ってあげるよ」

「え、ええええっ!!?」

「あっははゆでだこー!! ん、これいしい!」


私の反応を見て、猫くんは大爆笑しながら、お好み焼きをほおばる猫くん。


「か、からかわないでよ猫くんの意地悪!!」

「ん?」


再び、大きくてくりくりした瞳が私をとらえる。


「こんな気まぐれな俺を手懐けるの、大変だよ? 頑張れる?」

「………っ」





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