気まぐれ猫くんの手懐け方
「じゃ、私1回教室に戻ってメイク直してくるね!
あ、玲央頑張ってね!!猫くんもちゃんと走ってよね~!!」
そう言って教室へ向かって走り出した梨乃。
去り際に突然声をかけられた猫くんはびくりと肩をふるわせた。
「よーし、梨乃も頑張ったことだし、次は俺たちの番だな!頑張ろうぜ、三毛!!」
「は?頑張るとか、ないわ」
猫くんは、玲央くんの言葉に対して心底だるそうに目を逸らして答えた。
そんな彼に、玲央くんはビキビキと頬を引きつらせている。
「てめえ、赤組優勝に少しは貢献しやがれ!」
「どうでもいいしなんなら休んでもいいんだけど」
「ふざけんな」
やる気のない猫くんの襟元をつかんだ玲央くん。
「おい人の首根っこつかむなこの犬!」
今日一…いや、知り合った中で一番大きな声を出した猫くん。
「お前だって猫だろ!!」
「引きずるなよ、おいこら、離せ…ッ」
そのままずりずりと大男・玲央くんに引きずられ、男子100mに備え、スタート地点に向かう二人。