気まぐれ猫くんの手懐け方

「じゃ、私1回教室に戻ってメイク直してくるね!

あ、玲央頑張ってね!!猫くんもちゃんと走ってよね~!!」


そう言って教室へ向かって走り出した梨乃。

去り際に突然声をかけられた猫くんはびくりと肩をふるわせた。


「よーし、梨乃も頑張ったことだし、次は俺たちの番だな!頑張ろうぜ、三毛!!」

「は?頑張るとか、ないわ」


猫くんは、玲央くんの言葉に対して心底だるそうに目を逸らして答えた。

そんな彼に、玲央くんはビキビキと頬を引きつらせている。


「てめえ、赤組優勝に少しは貢献しやがれ!」

「どうでもいいしなんなら休んでもいいんだけど」

「ふざけんな」


やる気のない猫くんの襟元をつかんだ玲央くん。


「おい人の首根っこつかむなこの犬!」


今日一…いや、知り合った中で一番大きな声を出した猫くん。


「お前だって猫だろ!!」

「引きずるなよ、おいこら、離せ…ッ」


そのままずりずりと大男・玲央くんに引きずられ、男子100mに備え、スタート地点に向かう二人。



< 29 / 273 >

この作品をシェア

pagetop