気まぐれ猫くんの手懐け方
窓際の席の男の子は、窓から注がれる日差しを一身に受けすやすやと気持ちよさそうに眠っていた。
栗色のサラサラした髪の毛。
前髪は、ピンクの大きなピンで留められている。
身長は私より少し高いくらいで、男子の中では大きい方ではない。
授業中にちらっと見たくらいでもすぐわかるくらいに長い睫毛とくりくりした大きな目。
なんともかわいらしいその男の子は、名前もまたかわいいのだ。
―――三毛 猫助くん、というらしい。
席は隣だけど、話したことはない。
目が合ったことだってない。
私よりも女の子みたいな男の子。
気になってはいたけど、関わることはないと思ってた。
むしろ、かわいいその容姿が、うらやましかった。
彼を見つけた入学式の日、私もかわいくなりたいなあなんて思ったりして。
いつも使っているゴムをリボンに変えたら、梨乃に爆笑されたからやめた。