気まぐれ猫くんの手懐け方

ほんと、仲が良いのか悪いのか。

そんな二人をくすくす笑いながら見守っていたら、

玲央くんがくるりと私を見てきた。


「俺、ぜってー1位取るからな!見てろよ陽愛!!!!」

「えっ!!?」


とびっきりの笑顔で、私を指差して、見てろよ、なんて。

…そんなの。


「………うん!!頑張って!!」


私は両手でガッツポーズをして、エールを送った。

私の返事を聞いた玲央くんは、満足そうにうなずき再び猫くんを引きずりはじめた。


「……あ」


そのとき、猫くんと目が合う。


「…ね、猫くんも、頑張ってね!!!」


きっとまたいつものようにうざがられるとわかってはいたけれど、

同じく両手でガッツポーズをしてそう言えば。


「…………りょ」

「!?」


かすかに、その一言が私の耳に届いた。



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