気まぐれ猫くんの手懐け方
***

「陽愛、お待たせ!!!」


ばっちりメイクで戻ってきた梨乃が、私の肩に手を置く。


「どう?100m!」

「あ、うん!玲央くんはぶっちぎりの1位だったよ!!」


大きな体で駆け抜けるその姿は、まさに圧巻の一言だった。

終わった後に、真っ先に私の所に走ってきて


『陽愛!やったぜ1位!!』


あのシャイニングスマイルで喜んでいるものだから、私も嬉しくなって二人でぴょんぴょん跳ねて喜んでいた。


「さっすが玲央!あとは猫くん?」

「う、うん…」


梨乃の言葉に、また顔が熱くなるのがわかる。


ただ『りょ』って言われただけなのに。


なんでこんなに嬉しいんだろう。


………別に、なんてことはない。


普段あんなに毒舌で、何事にも興味がなくて、

ぼーっとしてるような猫くんが。



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