気まぐれ猫くんの手懐け方
たまにはいいかな
「あのさ」
「ハイ」
「真面目にやってんの?」
「……ハイ」
玲央くんとの練習の時は
あんっなに気怠そうにしていたのに。
どうして今はこんなにスパルタなの!!?
「俺の手、ここ」
「うん、」
「なんでバトンが俺の手の上に置かれないわけ」
「……ごめんなさい」
だってだって
心臓バクバクで
猫くんのこと直視できないんだもん……!!
私たちはグラウンドの隅でバトン渡しの練習中。
今も競技は続いていて、時折大きな歓声も聞こえてくる。
ああ、私もあっちに行って思いっきり応援したい…。