気まぐれ猫くんの手懐け方

「頑張れ!!頑張れ赤組~!!!!」


さっきまでの緊張はどこへやら。

私はお腹から声を出してトラックの中を走っている仲間を精一杯応援する。

レースが続くにつれ、自分の番が近づいてくる。

忘れていた緊張が、ドクンドクンと重苦しい音を立てて再び戻ってきた。


「陽愛、アンカーのことなんだけど」

「え?」


後ろから、玲央くんの声が聞こえ振り返る。


「きゃ~!!!!」

「!!?」


しかし、周りの皆のより大きくなった声で再び視線をトラックの中へ戻す。


「……っ!!」


赤組の子が、転んでしまっていた。


3位でとどめていた順位が、一気に5位と順位が一番下まで下がる。

トップとの差もかなり開いてしまった。



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