気まぐれ猫くんの手懐け方
「……やったぜ陽愛!!1位だ!!1位!!!」
「猫くんやばーい!!!」
玲央くんと、梨乃の声で、
ぎゅっと閉じていた目を開ける。
最初にゴールテープを切ったのは、
…猫くんだった。
「や、やったああっ!!!」
私は両手を上に上げて、涙目でトラック一周を走りきった猫くんめがけて走った。
「きっつ……久しぶりにこんな走った……」
両手を膝にあてがい、ゼエゼエと必死に息を整えている猫くん。
「猫くん!やった!1位だよ猫くん!!」
「…っぅわ!?」
私の存在に気づいた猫くんが、本気で驚いたのか一瞬体を宙に浮かせた。
「ね~こ~く~ん~……っ!! 嬉しいよう、1位だよう…!!」
「鼻水…、俺汚いの無理!!」
「こんな時くらい一緒に喜びを分かち合おうよう~!!」
逃げる猫くんを、私は両手を伸ばして追いかけた。