気まぐれ猫くんの手懐け方

「……ったく、」


猫くんがぴたりと動きを止めたため、私はつられて止まる。

小さな体は、まだ上がっている息を必死に沈めようと大きく上下していた。


「別に」

「……?」


猫くんは手を首筋に当てて。

そのまま少し私を振り返った。


「別に、あんたの為じゃないけどさ」

「……」


そして。


「……楽しかった」

「!!!?」


その口角が少し上がって。

まだ息が上がっていて苦しそうではあったけど。

でも、彼の言うとおり。


楽しそうに、笑った。



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