気まぐれ猫くんの手懐け方
「でもどうして猫くんが急にアンカーになったの?
最初は玲央がアンカーの予定だったわよね?」
梨乃が、玲央くんにリレーの走順について聞けば。
玲央くんは猫くんを見てくすりと笑う。
「や、あいつの100m見たろ?断然俺より早いと思ったんだよ」
「ふむ、なるほどね」
しかし梨乃は、納得していない表情で玲央くんを見て、こそこそと彼の耳元で何かを話す。
そこからは、私の耳には何も入ってこなくて。
ただただ猫くんの笑顔にきゅんきゅんさせられていた。
*
「けど、それだけじゃないんでしょ?」
「まあな」
「……陽愛が猫くんにバトン渡すのが、いやだった…とか?」
「…ま、そんなところかな」
「頑張りなよ、玲央」
*