気まぐれ猫くんの手懐け方

「でもどうして猫くんが急にアンカーになったの?

最初は玲央がアンカーの予定だったわよね?」


梨乃が、玲央くんにリレーの走順について聞けば。


玲央くんは猫くんを見てくすりと笑う。


「や、あいつの100m見たろ?断然俺より早いと思ったんだよ」

「ふむ、なるほどね」


しかし梨乃は、納得していない表情で玲央くんを見て、こそこそと彼の耳元で何かを話す。



そこからは、私の耳には何も入ってこなくて。

ただただ猫くんの笑顔にきゅんきゅんさせられていた。







「けど、それだけじゃないんでしょ?」

「まあな」

「……陽愛が猫くんにバトン渡すのが、いやだった…とか?」

「…ま、そんなところかな」

「頑張りなよ、玲央」





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