気まぐれ猫くんの手懐け方
別に、あいつのためとかじゃない。
ただ、あいつ見てると、楽しそうだなって。
素直にそう思った。
頑張ることに対してマイナスな思いしか抱いていなかったのに。
だって。
あんな風に、『頑張って』とか言われるとさ
たまには、『頑張ってみるのも悪くないかも』って、そう思えた。
心臓の音が少しずつ、早くなっていくのを感じる。
おかしいな、緊張してんのかな、俺。
普段ゆるゆると過ごしてるせいで、こんなの久しぶりで。
少し息が苦しくて、体が熱くて、けど嫌な感覚じゃない。
俺は、体に溜まっているたくさんのものをすべてはき出すように、
ふうーっと大きく息を吐いた。