気まぐれ猫くんの手懐け方

俺とあいつは半周ずつだから、別々のスタート地点。

どんな顔して走ってくるんだろう。

きっと、必死な顔して、女子らしからぬ顔して、走ってくるんだろうな。


めちゃくちゃ必死な顔して走ってくるあいつを想像したら、なんだか醜くてぷっと噴き出しそうになる。


……うざいし、暑苦しいし、醜いし。


そんな熱血に俺を巻き込むとか、ほんと大した女だよ。



そこまで思ったところで、トラックの中から悲鳴が聞こえる。


見れば、向こうからこちらへ走ってくる子が転んでしまっていた。


それにより、一気に5位へと順位が転落する赤組。


何してんだよ、早く立てよ。

………頑張れよ。



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